「流動浸漬法」ってどんな工法ですか?
流動浸漬法は粉体塗装の一種で、さまざまな樹脂を金属部材の表面にコーティングする加工技術です。
槽内に満たしたパウダー状の樹脂をエアーで吹き上げ「流動」させ、
そこに樹脂の融点以上まで加熱した基材を「浸漬」することで、樹脂を溶かし被覆させます。
流動した樹脂の中に基材を浸漬させることから工法名がつけられています。
※より詳細な内容については、コチラから。
ちなみに、当社名の「流浸工業」はこの流動浸漬法を国内でいち早く導入したことに由来し、
工法から二文字を取り社名としています。
「流動浸漬法」の樹脂コーティングではどんな樹脂を使っていますか?
当社では主に11ナイロン(ポリアミド11)、PVC(半硬質塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)、
エポキシなどの樹脂でコーティングを行います。
それぞれの樹脂塗膜特性や主な用途は取扱樹脂一覧をご覧ください。
「流動浸漬法」でコーティングすることでどんな効果が生まれるのですか?
一般的な吹き付け塗装等と比べ、高い密着力を持ち、厚膜でコーティングできますので、非常に高い防錆力や防触効果、耐候性を発揮することができます。
また、絶縁特性やスベリ特性や消音効果などを向上させることも可能です。
どんなものにでもコーティングできるのですか?
当該樹脂の融点以上の耐熱性と必要な熱容量を持ったものであればコーティングは可能です。
鉄(SS400・SPCC・SPHC・SWRMなど)、SUS材、銅、アルミ、真鍮、耐熱ガラス等の実績多数。
メッキとコーティングの違いは何ですか?
一般的にメッキは金属および樹脂製品に、製品に必要な性能を持つ金属を被覆する表面処理加工であるのに対し、
コーティングは金属以外(塗料・粉体樹脂etc.)の物質を被覆する表面処理加工です。
メッキの上から「流動浸漬法」の樹脂コーティングはできますか?
理論上はメッキの上からでも樹脂コーティングは可能ですし実績も多数あります。
ただし、メッキの種類によっては密着しなかったり、加熱による膨れが発生する可能性があります。
溶剤焼付塗装と「流動浸漬法」の樹脂コーティングとの違いは何ですか?
一番大きな違いは膜厚です。溶剤塗装は平均膜厚 30~50μに対し、
流動浸漬法の樹脂コーティングでは薄くても200μ以上の膜厚があり高い防錆力を担保できます。
ステンレス材素地と他素材への樹脂コーティングだとどちらが防錆力が高いですか?
ステンレスには用途によりいろいろな材質がありますが、主成分である鉄にクロムやニッケルを混ぜる事で作られる合金です。
一般環境下におけるステンレスは錆びにくい金属ではありますが、塩素や強酸、強アルカリや海水等には弱く、錆が発生する事もあります。
それに対し樹脂は錆びる事はありませんが、樹脂によって使用可能な環境は異なります。
部分的に樹脂コーティングする事は可能ですか?
はい、対応可能です。
ネジ穴保護のためにボルトを通したり、テープを巻くなどでマスキング処理を行っております。
どういったところで流動浸漬法でコーティングされた製品は使用されていますか?
用途に限らずさまざまなところで採用されております。
たとえば、冷蔵冷凍庫用のカゴや排水管、臭突管、ドアハンドルや建築資材と用途は多種多様です。
小さいものにも樹脂コーティングはできますか?
当社の独自工法【ミニコート法】は、つり治具を用いない無接点コーティングです。
小物のコーティングには最適な工法で、つり跡が付かず美観に優れます。
塗装膜厚は、どれくらいですか?
流動浸漬法であれば200μ~、ミニコート法ならば150μ~です。
(基材の材質や形状、樹脂の種類によって異なります。)
嵌合などの理由で膜厚に上限がある場合は、当社営業までお気軽にお問い合わせください。
膜厚1.0mm以上の樹脂コーティングはありますか?
ゾルディッピング法による軟質PVCコーティングですと、膜厚1.0~1.5mm程度で加工できます。
ペンチのグリップ部分に加工されることが多いです。
流動浸漬法でも1.0mm以上の厚みが有り密着力の有る当社オリジナルの樹脂も取り扱っています。
流動浸漬法とゾルディッピング法によるPVCコーティングの違いはなんですか?
流動浸漬法によるPVC(塩ビ)コーティングは半硬質PVCで加工し、密着性や耐候性が非常に高いです。
ゾルディッピング法によるPVCコーティングは軟質PVCで加工し、密着がなく耐候性が弱いですが
膜厚が厚く、カラーバリエーションが豊富です。
樹脂はどうやって選べばいいの?
樹脂によって特性が異なりますので、
専門知識が豊富な当社営業が用途やコストにあわせてご提案させていただきます。
ワークの形状が複雑なのですがコーティングできますか?
パウダー材料を満たした流動槽の中にワークを浸けて加工しますので、
樹脂溜りや空気溜りが起こる箇所ではコーティングに不具合が発生します。
「樹脂や空気が抜ける形状」であればコーティングは可能ですので、一度当社営業にご相談ください。